家々にあった門松も姿を消し、
ふだんの集落の様子が戻ってきました。
新年を迎えるにあたって
家の門口に建てる門松。
お正月の象徴的なものですよね。
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わたくしのような島外出身者にとって門松と言えば、
切り口が斜めの太い竹を中央に3本立て、回りに松などを飾っているもの。
先日おうかがいした油井小学校で作っていた門松をイメージします。
9年前、奄美で初めて迎えた正月に見た門松は、
それまで見ていたものと違っていてビックリしました。
瀬戸内町も中心部の古仁屋では、飾っているお宅が少なくなっているようですが、
隣の清水集落では、ほとんどの家で門松をしています。
それぞれに飾り方が違い、興味深いので見て回ってきました。
よく見かけるのが松、竹(細く笹の部分)、ゆずり葉を素朴に束ねたもの。
そして椎の木を入れているお宅もあります。
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昔は門口から入口まで化粧砂として、
白砂を撒くのが習わしだったようです。
そして山のように白砂を盛って、
椎の木で芯を作り、藁縄で松、竹、ゆずり葉をくくりつけるのが伝統的なやりかた。
「松」 永代の栄えや長生き
「竹」 すくすく伸び強い
「ゆずり葉」 親から子へと代々譲る
「椎の木」 材木として貴重な木で、実がたくさんなり繁栄する
という意味や願いを込められているとのこと。
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現在は、門もコンクリートで固められているところも多いので、
筒状のものに門松を入れて、そのまわりに砂を盛ったり。
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こちらは、植木鉢に白砂を入れて門松を作っています。
このやりかたをしているお宅が多いようですね。
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清水集落は、目の前が海岸なので
どこも白砂をたっぷりと使っていました。
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木製の桶風、プラスチック型。
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なるほど、土のう袋を使って。
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門松専用でしょうか? 筒状ポール立て型。
ふだんは見かけないので正月だけ出していらっしゃると思います。
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唐の時代の中国で、門に長寿を象徴する松を飾ったことが起源だという説もあるので、
”門松”の本来の姿はこのお宅のように松だけなのかもしれませんね。
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喫茶店の「こんぶち」さんも松のみ、なんだかカワイイ!
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清水の厳島神社にも門松がありました。
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やはり白砂が盛られていますね。
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島の門松スタイルに、本土の竹3本を組み合わせた
”奄美・本土折衷門松”を発見!
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切り口が「笑口」のように見えて、
縁起がいいですね。
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篠川集落では、門松の上にウラジロの葉をひっくり返してかける
(悪者に追いかけられた時、ウラジロの下に隠れて助かったからと伝えられている)、
久慈集落では、家と同じように墓地にも松や椎の木を立てるという云われのあるところも。
加計呂麻島の三浦では集落の海岸が白浜でないため、
わざわざ遠くのアハセというところまで小舟で出かけて
白砂を積んで来て庭にばらまいていた時代もありました。
清める意味合いでしょうか、
海が身近にある島では
白い砂は正月行事に重要な存在だったようです。
瀬戸内町でも中心部の古仁屋では設置スペースなどの関係からか、
こんな門松シールを貼っているお宅も多いです。
こちらのシールは全国的にも松や竹を切らないようにと
一時期、自治体から全戸に配布したり流行ったことがあるようです。
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奄美大島北部の笠利町出身、われらS.B.Iカナエ隊長の実家では、
松、竹、ゆずり木が基本。それに足すならサカキ。
椎の木は使わないそう。
同じくS.B.Iマチ博士の与論島の実家では、門松は松と竹。
子どもの頃は1キロ先の海岸から白砂を運んでくる係を命ぜられ、
そのせいで肩幅が狭くなった(!?)と、辛い思い出のよう。
与論島では、松くい虫の被害などもあり年々松が少なくなっており、
今年の年末は「よその家から松を取らないように!」という警察の放送があったそうです。
そのため、マチ博士は「300円出して松を買った」と言ってました。
見て回った清水集落でも、
「去年までは自分たちで山に材料を取りに行ってたけど、
今年は隣の集落の人から買った」というお宅も何軒かありました。
島の暮らしに身近にある材料を使っていた門松ですが、
近年は手に入れるのも
大変になってきているようです。
島も内地も門松の違いがあり
事情も少しずつ変わってきていますが、
「新しい一年を気持ちよく迎えたい」という想いは不変のものですね。
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< 参考文献 >
・「瀬戸内町誌(民俗編)」 瀬戸内町
・「瀬戸内町の文化財をたずねて」 瀬戸内町教育委員会
2013.01.06
S.B.I (瀬戸内町 文化遺産 活用実行委員会) 広報K
鹿児島県 奄美大島 瀬戸内町立図書館・郷土館内