ヤコウガイを磨いて小物を作ろう!

2014年08月08日
平成26年8月6日(水)
瀬戸内町立図書館・郷土館では

「夏休みこども塾」

ヤコウガイを磨いて小物をつくろうを開催しました。





今回の講師は
瀬戸内町立図書館・郷土館 埋蔵文化財担当学芸員の  鼎(かなえ) 丈太郎さん
瀬戸内町でヤコウガイ細工をされているSeamam(シーマム)代表の 正(ただし)洋人さん
約20名の子供から保護者の方にご参加いただきました。



これまでのヤコウガイ細工講座の関連記事はこちら
→ 奄美の歴史を感じて ~夜光貝細工体験~
   ヤコウガイ細工体験
  




まずは、学芸員の鼎さんから、
「奄美の歴史とヤコウガイの関わり」 についてのお話がありました。


奄美大島では、1400年前の遺跡からヤコウガイの貝殻が大量に出土しています。
出土したヤコウガイを調べてみると、“貝さじ” と呼ばれる器を製作していた跡であることがわかってきました。

当時の都では、ヤコウガイが大変珍重され、貴族の間では贈り物としても使われていたそうです。
貴族がお酒を飲む時に「ヤクガイ」と呼ばれるものを使ったり、
儀式の時に「貝杯」というものを使ったという史料が残っているため、
「貝杯」と遺物の「貝さじ」が同じものではないか?とも考えられています。

また、ヤコウガイは美しい光沢の真珠層を持つため、“螺鈿細工” の材料にもなっています。
正倉院宝物(8世紀)や中尊寺金色堂(12世紀)堂内の装飾などにもヤコウガイが使用されています。
屋久島より北では手に入れることができない貝なので、
日本本土へは奄美大島付近の海から運び込まれた可能性が高く、
奄美大島で発見されたヤコウガイを出土する遺跡と関連があるのでは?とも言われています。
当時、夜光貝は貴重な交易品であったということですね。





『大量に発見されたヤコウガイ、何に使われていたと思う?』との鼎さんの質問に…

『土器?』と中学生の女の子が答えてくれました。

『土器も正解!』
貝を丸ごと焼いたような痕が残るヤコウガイも遺跡から発見されています。

答えは一つでは無いようです。


* * * * * * *

発掘されたものから、昔の暮らしを考えてゆくことは、歴史を知る楽しみのひとつ。

子供たちに想像してもらい、
自分たちの住んでいる奄美の歴史に、少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいですね。

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続いて正(ただし)さんによるヤコウガイ細工。
きれいに仕上げる磨き方を伝授していただきました。

正さんは、21歳の時に奄美大島にやってきて、約15年間 “漁師” として生活されています。
夜光貝細工は、5年前から製作に取り組んでおり、
自らが採った夜光貝を瀬戸内町のお土産品となるよう独自で商品開発をされています。
発想豊かな作品と仕上がりへのこだわりがとても素晴らしいんですよ。



奄美を代表する真珠層を持つ貝
ヤコウガイの他にも、サラサバテイラやチョウセンサザエなども真珠層を持っているんですよ。





1400年前から人々を魅了してきたヤコウガイの美しさを目の前に、子供たちも大人も釘づけです!



さぁ、いよいよヤコウガイ磨きに入ります!
たくさんのパーツを準備してくださいました。

“選ぶ楽しさ”




たいへんだけど、“磨く楽しさ”




“作る楽しさ”



子供たちに“気づくこと”が、ものづくりには必要ということで、
細かいキズを一緒に見つけながら、励ましながら磨いていきました。




* *

ヤコウガイのパーツを磨き終えると、
最後は先生の作品を参考に、キーホルダーやネックレス、髪飾りにするか自分で決めていきます。
自分のパーツにはどんな色の紐やビーズが合うのか・・・みんな真剣に選んでいました。

紐やビーズのカラーも豊富にあり、

“子供たちの個性” を見ることもできましたよ。



ヤコウガイを磨くのにかかった時間は、なんと2時間!
でも子供たちは最後まで集中して磨いていましたよ!

美しい宝物がまたひとつ、増えましたね!



昔から利用されてきたものが、現在にも存在し、こうした形で身近に活用されている。

奄美の自然ってほんとうに素晴らしいですね。



* *


講座の冒頭で、

『夜光貝を見たことある人?』の質問に、

夜光貝を知らない、という子供たちがほとんどでした。

とても驚いてしまいました。



生まれ育つ島のこと。

わたしたち大人ができることは、子供たちに島を知る “機会” をつくることしかできません。

今回の講座で、少しでも島のことを“ 新発見” できた子供たちがいたならば、とても嬉しいです。

ご参加くださったみなさん、保護者のみなさん、講師のみなさん、ありがとうございました。



* *

みなさん、夏休みの自由研究はもう決まりましたか?
今回の「夏休みこども塾」講座が、すこしでも自由研究のヒントになれたなら、嬉しいですね。

瀬戸内町立図書館・郷土館では、8/13(水)8/27(水)にも子ども塾を開催予定です。
他の講座も是非、ご参加くださいね。
まだまだ、受付OK!です。

夏休みの工作など、困っていたら、瀬戸内町立図書館・郷土館に行ってみよう!!

こども塾の内容は、↓↓こちら↓↓をご覧ください。
瀬戸内町立図書館ホームページ


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2014.8.6
瀬戸内町立図書館・郷土館
埋蔵文化財調査員 正智子