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2014年2月2日、瀬戸内町公民館で「大島海峡ミステリーサークルの謎」についての講演会が開催されました。
講演会の様子やミステリーサークルが出現する奄美大島海峡について、
マリンステイションのダイビングスタッフ伊藤がお伝えします。
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講師の松浦啓一さんは水産学博士で魚類分類学のスペシャリスト。
詳しくはこちら
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昨年9月、奄美海洋展示館で講演会が行われましたが、
“ぜひ地元での開催を!”ということで、今回の講座が実現しました。
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実はこのミステリーサークル、小さなフグが作っています。
まずはそのフグの仲間について。
現在、全世界で知られているフグの仲間は約360種。
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成長すると3mを超えるマンボウも実はフグの仲間。
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そして右下枠内の写真は体長1cmのマンボウの赤ちゃん!!
コンペイトウ?太陽?のような衝撃的な容姿!見てみたい。
奄美大島海峡にも沢山のフグの仲間が住んでいます。
そのフグの仲間たちをちょっとだけ紹介します。
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コクテンフグ(フグ目フグ科)
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ヒトヅラハリセンボン(フグ目ハリセンボン科)
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ミナミハコフグ(フグ目ハコフグ科)
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モンガラカワハギ(フグ目モンガラカワハギ科)
みんな、コミカルでゆるキャラのモデルになりそうです。
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日本のフグ科の仲間は約60種。
ミステリーサークルの作者は、このフグ科の中のシッポウフグの仲間だと考えられています。
シッポウという名前は七宝焼から来ているそうです。
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これが奄美大島海峡で発見されたミステリーサークル。
春から夏にかけて嘉鉄と清水の水深10m~30mの範囲に出現しています。
大きさは直径約2m!
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そしてこのフグがミステリーサークルの作者。
フグの仲間だけでなく魚類でこんな巣を作る魚は他に例が無いそうです。
成魚で体長約12cm。このフグが直径約2mのサークルを作る!
これを人間に換算すると直径約25mのサークルを作る事に・・・大変な作業ですね。
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このミステリーサークルは2007年に清水で伊藤が初めて発見して以来、正体は謎のまま。
まさにミステリーだったのですが、2011年に水中写真家の大方洋二さんとともに、
フグとサークルの関係を確認しました。
なんと大方洋二さんは今から20年程前にも嘉鉄でサークルを見た事があったそうです。
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2012年、NHK「ダーウィンが来た」の長期取材により、
ミステリーサークルの秘密が明らかになってきました。
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オスが体やヒレを使い、約1週間かけてサークルを作ります。
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1が作り始めで4が完成した状態です。
完成するとメスがサークルの中心円部分に産卵します。
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卵が孵化するまでの約1週間、オスが卵の世話をします。
具体的には中心円部分の卵と砂をかき混ぜ、卵に新鮮な海水を送ったり、
侵入者や侵入物、外敵を追い払ったりなど。
この期間は周辺部分の溝を掘る作業はしなくなります。
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メスはサークル周辺に居たり居なかったりで、卵の世話はしません。
約1週間後、卵が孵化するとオスは付近に新たなサークルを作り始め、
古いサークルは次第に消えていきます。
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更にこのフグのスゴイ所は、潮の流れが緩やかになる小潮時期にサークルを完成させ、
潮流が強くなる大潮時期に卵が孵化するよう、潮汐にタイミングを合わせて
サークルを作っている事です。
この行動は小潮時期にサークルの綺麗な形を保ちメスに産卵してもらい、
大潮時期に孵化した赤ちゃんを広範囲に拡散させて、最終目的である種の繁栄を
促しているのでは?と考えられます。
潮汐に合わせる為なのか、たった1日足らずでサークルを完成させた例もあります。
何故あのような複雑奇怪な模様の巣が必要なのか?
諸説ありますが、この最大のミステリーはまだ解明されていません。
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採集した卵から育てた稚魚のDNAを解析した結果、
なんと新種である事が判明!!
奄美大島海峡から新種が発見されるなんて、スゴイですね~、嬉しいですね~。
しかし新種として発表するには「基準となる標本が必要である。」
と、国際動物命名規約で決められているそうです。
要は最低1匹を標本として捕まえないと、
・新種登録できない
・名前が付けられない
・保護の対象とならない
という事だそうです。
2014年3月以降、ミステリーサークルのシーズンが始まったら、
新種登録の為の標本採集が行われる予定だそうです。
どんな名前が付けられるのか楽しみですね。
奄美に因んだ名前になるといいな~。
「海底のミステリーサークルができるまで」
2013年、イギリス国営放送BBC、テレビ東京の現地取材が行われました。
その他テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット等各メディアで紹介されたり、研究論文も発表され、
奄美大島で発見されたミステリーサークルは注目され続けています。
奄美大島 瀬戸内町 大島海峡
2014.2.2
調査員 伊藤(マリンステイション奄美)